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第5回 認知症施策推進基本計画の前文(2025年03月31日)

   認知症基本法第十一条に基づき、政府は2024年12月に認知症施策推進基本計画(以下、基本計画)を策定・公表しました。 この基本計画は、認知症施策推進関係者会議で検討され、関係者会議のメンバーである認知症の方たちの意見も、 厚生労働省のホームページに公開されています(認知症施策推進関係者会議)。 基本計画は、2025年度を最終年とする認知症施策推進大綱での進捗に、新たな知見や技術を取り込むことで施策の継続性を確保しつつ、 施策の具体的な目標を提示・評価し、5年ごとに検討が加えられます。 さらに、認知症基本法では、当事者の身近なところで参加や支援の充実が図られるように、基本計画を基本として都道府県、並びに市町村においても、 地域の実情に応じた認知症施策推進計画の策定を求めています。

   以下に、基本計画の前文に記載されている5つの内容を紹介します。

  • 誰もが認知症になり得る/自分事として考える時代へ
  • 基本法に基づく認知症施策の新たな展開、共生社会の実現
  • 「新しい認知症観」に立つ
  • 認知症の人と家族等が参画し、共に施策を立案、実施、評価する
  • 認知症の人の地域生活継続のために、多様な主体が連携・協働する

   前文の中で特に私が印象深く読んだのは、「認知症の人と家族等が参画し、共に施策を立案、実施、評価する」の項に記載されている、 「認知症の人を単に“支える対象”としてではなく、一人の尊厳ある個人として捉え、認知症の人がその個性と能力を十分発揮し、経験や工夫をいかしながら、 共に支え合って生きることができるようにすることが重要である。」というくだりの、下線を引いた部分です(下線は筆者による)。

   プロジェクト委員会では、現在、『「急性期病院において認知症高齢者を擁護する」日本老年看護学会の立場表明2016』の刷新に向けて、関係者から意見をお聞かせいただいています。その中で、看護職だけでなく、その他の方からも、「認知症高齢者を擁護する」というタイトルに対して指摘を受けました。それは、「認知症の人は皆、擁護が必要な人という印象を与えかねない」というものであり、この前文に対応した指摘を看護職から受けたことに、2016年以降の認知症看護の前進を感じました。

   今、求められている水準を再確認するためにも、ぜひ基本計画の前文をお目通しください。

北川 公子(プロジェクト委員会委員長、共立女子大学)