プロジェクト委員会は、新たに生じた課題にタイムリーに対応することで本学会の目的達成に貢献することをめざして、今年度から設けられました。
この2年間の任期中に取り組む新たな課題は、「共生社会の実現を推進するための認知症基本法に関わる活動の推進」です。
その活動の一つとして、本学会の皆さまや認知症基本法に関心をもつ方々に、この法律のねらいや施策の動向、また医療やケアとの関連性などについて「わかりやすく」をモットーに、毎月1回のペースで記事を発信することとしました。
第1回は、「認知症基本法を知っていますか?」です。
認知症基本法の正式名称は、「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」です。議員立法として検討が重ねられ、2023年6月に成立、2024年1月1日から施行されました。少し長いですが、第一条の「目的」を見てみましょう。
この法律は、我が国における急速な高齢化の進展に伴い認知症である者(以下「認知症の人」という。)が増加している現状等に鑑み、認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう、 認知症に関する施策(以下「認知症施策」という。)に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体等の責務を明らかにし、及び認知症施策の推進に関する計画の策定について定めるとともに、 認知症施策の基本となる事項を定めること等により、認知症施策を総合的かつ計画的に推進し、もって認知症の人を含めた国民一人一人がその個性と能力を十分に発揮し、 相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会(以下「共生社会」という。)の実現を推進することを目的とする。(下線は筆者)
この法律の対象となる人は、「認知症の人を含めた国民一人一人」です。認知症の人のための法律であり、ご家族の法律であり、地域で暮らす人々のための法律です。まず、「他人ごと」ではなく「自分ごと」としてこの法律に向き合うことから始めてみたいと思います。
北川公子(プロジェクト委員会委員長、共立女子大学)