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  専門看護師・認定看護師活動推進委員会報告

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公益社団法人日本看護協会が定めている資格制度に基づき、老人看護専門看護師は、複雑で解決困難な看護問題を持つ高齢者、家族及び集団に対して卓越した看護を実践し、関係者からの相談を受け、必要なケアが円滑に行われるために調整を行い、高齢者や家族の権利を守るための倫理調整、ケアを向上させるため教育的役割を果たし、さらに実践の場における研究活動を通して老年看護の質向上に寄与しています。また、認知症看護認定看護師は、認知症者とその家族および集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて、水準の高い看護実践を行い、指導相談を通して看護現場における認知症ケアの広がりと質の向上を図るために日々活発に活動しています。
一般社団法人老年看護学会はこれらの資格の誕生に関わっており、現在は専門看護師・認定看護師活動推進委員会がこれらの活動を一層活発にするために研修などを企画・運営することにより支援しています。
その一環としてCNSCN活動推進委員会では、老人看護専門看護師、認知症看護認定看護師の活動について会員・非会員を問わず広く知っていただき、理解を深めたいと考えHPに公表していくこととしました。概ね2か月に1回、報告内容を更新していく予定です。専門看護師、認定看護師の活動について理解を深めていただくとともに、看護実践の課題解決のヒントとして役立てていただければ幸いです。

Vol.25

Vol.24

Vol.23

Vol.22

Vol.21

Vol.20

Vol.19

Vol.18

Vol.17

Vol.16

Vol.15

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Vol.10

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Vol.8

Vol.7

Vol.6

Vol.5

Vol.4

Vol.3

Vol.2

Vol.1

Vol.25-1
診療所において住み慣れた地域での暮らしを支える~医療とケアの両面の支援~
2019年認定 認知症看護認定看護師
ろっこう医療生活協同組合 うはらクリニック
高野 幸子

プロフィ-ル写真

私は,在宅療養支援診療所として認可を受けたクリニックに勤務しています.平日の午前は外来診療,午後から訪問診療をおこない,夜間・土日祝日の高齢者の体調不良時は,臨時往診やクリニックからの訪問看護によって,早期に医療・看護ケアを提供し,ご自宅での療養生活を支えています.
地域には,脳血管疾患・糖尿病・高血圧・COPD・心不全,神経難病,がん患者など様々な疾患を抱えた方が暮らしており,これらの疾患治療中に認知症に罹患される方やすでに罹患されている方もいつもと変わらない生活を送られています.その様な現状の中で,生活機能が低下する認知症の方の地域での生活を支える看護を提供したいと思い,認知症専門医が所属するクリニックでの勤務を教育課程修了後に選択しました.
専門医を訪ねてくる認知症を患った方・ご家族様の相談受診は増えています.特に中等度の認知症の方は,記憶障害も進み,生活機能障害も現れ,できなくなることに対しての不安や恐怖・孤独感を抱きやすくなります.家族介護者は,介護負担が増え,ストレスを抱え込みやすい時期でもあります.そこで,Zarit介護負担尺度を利用し,家族介護のストレスを把握し,認知症教室という形で家族へのアプローチを行いました.本人の行動に困っていたり,将来の不安があると回答する家族が多く,病気や症状の理解だけでなく,実際の介護に有用な介護方法や関わり方,認知症の経過について具体的に伝えていく必要があると思いました.また,同じ悩みを抱えている家族介護者の交流は,お互いの介護を振り返り,認め合えたり,新たな介護方法を見出せたりして,終了後はみなさんの笑顔を見ることができるので,この様な教室を定期的に開催していきたいと思います.
在宅の現場では,医療・介護・福祉職以外に地域住民を含め,民生委員など様々な方と関わる機会も多く,それぞれの視点から得た些細な情報は,認知症の方の生活継続を考える重要な情報となります.今後も,認知症の方の思いに寄り添いながら,五感を働かせつつ,事実をありのままに情報収集して,根拠をもったアセスメントをおこなうことで,住み慣れた地域でその人らしい暮らしを支えていきたいと思います.
高野 幸子(たかの さちこ)
病院・訪問看護ステーションを経て、2018年より現職。2019年認知症看護認定看護師の認定を受ける。
Vol.25-2
「その方の人生」に皆が目を向け、最善の医療が提供できる急性期病院を目指したい
2015年認定 老人看護専門看護師
長崎大学病院
井手 みのり

プロフィ-ル写真

私は,看護師免許取得後,急性期病院一筋で働いてきました.現在勤務する長崎大学病院は,病床数874床,長崎県の高度急性期医療を担う病院として,毎月1,500名超の患者さんが入院し,短い在院日数で治療後,次の療養の場に移っていきます.入院患者の約半数を高齢者が占め,身寄りのない方や老老世帯,高齢化率40%を超す医療過疎地で暮らす方も数多くいます.
急性期医療の現場では,侵襲的治療や急変時の延命選択など,人生を左右する意思決定を迫るにも関わらず,医療者が意識的に問いかけなければ,その方が入院前にどのような生活をしていたか,何を大切に生きてきたのか知らないまま,治療方針の決定がなされることも少なくありません.私の役割は,患者さんの生活に携わる全員が,目の前の状況だけでなく,その方の生き方に想いを馳せながら,患者さんにとって最善の選択ができるよう支援していくことだと考えています.
例えば,認知症ケアチームラウンドで,私は「何の仕事をしていたか」「好きなことは何か」等の質問をし,患者さんを知ることに時間を使います.意思疎通が困難な患者さんには,音楽,写真や絵など,五感を使ってその方が反応を示してくれる何かを見つけようと試みます.今まで不安そうだった方や無表情だった方が,自分について語ってくれた時,笑顔を見せてくれた時,その方の人生の一部を共有できたような喜びを感じます.うまくいくことばかりではありませんが,関心を持つ姿勢が重要と考えています.患者さんに関心を持つことで,徐々に病棟スタッフにも変化が出てきました.以前は,「患者さんがどうやったら落ち着いてくれるのか」と問題行動への対処を知りたがるスタッフがほとんどでしたが,ここ数年,チームが介入する前から「患者さんはどうして帰りたいんだろう.何に困っているのかな」と,患者さんの思いや体験に寄り添う発言や対応が増えています.職種を超えて,この変化を少しずつ増やしていくことが,高齢者ケアの質向上とともに,急性期病院で働く医療スタッフのやりがいにもつながっていくと感じています.
〈看護はサイエンスでありアートである〉というナイチンゲールの言葉は,私の心の支えです.科学的根拠に基づいた実践は大前提として,看護の醍醐味はやはり,目の前の高齢者をもっと知り,心を通わせるため,想像力を働かせて感性を磨いていくことだと信じて,これからも老人看護専門看護師として自己研鑽していきたいと思います.
井手 みのり(いで みのり)
都内急性期病院の循環器内科外科・呼吸器内科外科・皮膚科病棟で勤務する中、せん妄や退院困難な高齢患者の対応、多職種協働の難しさに悩み、看護師10年目で大学院進学を決意。 2012年修士課程修了後、長崎県へ移住。現職に就き2015年老人看護専門看護師の認定を受ける。外来、病棟、地域医療連携センター勤務を経て、現在は認知症ケアチームの専任看護師として活動している。