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  専門看護師・認定看護師活動推進委員会報告

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公益社団法人日本看護協会が定めている資格制度に基づき、老人看護専門看護師は、複雑で解決困難な看護問題を持つ高齢者、家族及び集団に対して卓越した看護を実践し、関係者からの相談を受け、必要なケアが円滑に行われるために調整を行い、高齢者や家族の権利を守るための倫理調整、ケアを向上させるため教育的役割を果たし、さらに実践の場における研究活動を通して老年看護の質向上に寄与しています。また、認知症看護認定看護師は、認知症者とその家族および集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて、水準の高い看護実践を行い、指導相談を通して看護現場における認知症ケアの広がりと質の向上を図るために日々活発に活動しています。
一般社団法人老年看護学会はこれらの資格の誕生に関わっており、現在は専門看護師・認定看護師活動推進委員会がこれらの活動を一層活発にするために研修などを企画・運営することにより支援しています。
その一環としてCNSCN活動推進委員会では、老人看護専門看護師、認知症看護認定看護師の活動について会員・非会員を問わず広く知っていただき、理解を深めたいと考えHPに公表していくこととしました。概ね2か月に1回、報告内容を更新していく予定です。専門看護師、認定看護師の活動について理解を深めていただくとともに、看護実践の課題解決のヒントとして役立てていただければ幸いです。

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Vol.36-1
認知症を発症しても,その人らしく生きる ―外来で支えるこれからの認知症看護―
2020年度認定 認知症看護認定看護師
富山県立中央病院
田開 玲菜

田開 玲菜プロフィール写真

私は神戸市の中核病院で病棟勤務をしていた際に,環境変化や身体的不調,治療の侵襲により,認知症の方がせん妄を発症する場面に多く直面しました.知識を深める中で,看護師の関わり方が,患者に不安や恐怖を与える環境要因となり得ることを知り,良かれと思ったケアが不快感につながる葛藤を経験しました.そこで,正しい知識と根拠を持ち,安心できる関わりができる看護師になりたいと考え,認知症看護認定看護師を目指し,2020年度に認定されました.病棟で実践を重ねる中で,コロナ禍で家族に会えない認知症患者の不安に寄り添いながら,看護師が家族に代わる安心できる存在となれるように努めてきました.
 2024年より富山県に移り,富山県立中央病院で,家族の協力を得ながら短時間勤務で外来勤務を行っており,もの忘れ相談の対応,脳神経内科外来での抗アミロイドβ抗体薬の点滴治療に関わっています.
 もの忘れ相談では,もの忘れを自覚された方やそのご家族の話を伺い,受診の流れや,生活の工夫,ご家族の関わり方,予防のためにできることなどを伝え,不安に感じておられることを少しでも解消できるように努めています.相談をきっかけに受診に繋がることもあり,認知症の早期発見が,その人らしい生活の継続や進行抑制,意思決定に参加できる機会に繋がっていると実感しています.また,認知症看護認定看護師として関われていることに大きなやりがいを感じています.
 抗アミロイドβ抗体薬の点滴治療では,治療に伴う緊張や不安を少しでも和らげ,安心して受けて頂けるように支援しています.「今できていることを少しでも長く続けたい」という本人やご家族の切実な想いに寄り添いながら,価値観を汲み取った関わり,ご家族の病気の理解,将来への不安を軽減できる支援を心掛けています.人と関わることが好きで,お花や押し花などを趣味とされていたA氏は,運転免許返納に伴い,外に出る機会が減り,家にいる時間が長くなりました.自分自身が感じるもの忘れの違和感から受診され,点滴治療を開始することになりました.本人,ご家族と今後の生活について話し合い,将来のことも考え,介護保険の申請を行いました.デイサービスに通うことになり,手先を使った作業をする機会が増え,「昔は色々なものを作ったね.」と話されることもあり,点滴治療を継続しながら,外に出て他者と関わる機会や得意であったことを楽しむ機会ができ,A氏の大切にされていることを継続できていると感じています.
 2024年に認知症基本法が施行され,認知症を発症しても尊厳を保ち,住み慣れた場所で自分らしく生きることが求められる時代となりました.認知症を発症したからといって,その人らしさが失われるわけではありません.認知症という病気を抱えながらも,その人の人生や想いが尊重されるよう,これからも認知症看護認定看護師として,誠実に活動を続けていきたいと考えています.
田開 玲菜(たびらき れな)
2020年 認知症看護認定看護師 認定
2024年 富山県立中央病院 勤務
Vol.36-2
高齢者に寄り添うケアを目指して
2014年度認定 老人看護専門看護師
医療法人社団三喜会 鶴巻温泉病院
関 尚子

関 尚子プロフィール写真

鶴巻温泉病院は神奈川県秦野市に位置し,回復期リハビリ病棟,医療療養病棟,障害者・難病リハビリ病棟,緩和ケア病棟,介護医療院など,多様な機能を持つ慢性期病院です.私は2014年度に老人看護専門看護師の認定を受け,現在は地域包括ケア病棟に所属し,認知症ケアチームや身体拘束廃止検討委員会の活動を中心に,高齢者とご家族に寄り添うケアの実践に取り組んでいます.
 認知症ケアチームでは,認知症を持つ高齢者の困難事例に対するコンサルテーションを行っています.コンサルテーションでは,スタッフがどのような点に困難さを感じているのかを丁寧に聞き取り,高齢者の状態や背景を踏まえて共にアセスメントを行い,ケアを検討する時間を大切にしています.たとえば,「自宅に帰りたい」と同じ時間帯に不安を訴える認知症高齢者には,「家族が私の帰りを待っている」「食事の支度をしないと」などの言葉の背景にあるその方の思いを受け止め,入院前の生活歴を踏まえた支援を検討します.具体的には,家族からの手紙や連絡日記の導入,1日1回は電話で家族と話す時間を設けるなど,安心感につながるケアを家族と協力しながら実施しています.
 身体拘束廃止検討委員会では,昨年度より多職種チームでの身体拘束最小化チームを立ち上げ,身体拘束の回避が難しい事例を中心に代替ケアの検討を実施しています.スタッフは「身体拘束を外したい」という思いと「安全を守りたい」という責任感の間で葛藤することが多く,ご家族の「絶対にけがをさせたくない」という強い思いが身体拘束を選択せざるを得ない要因となる場合もあります.しかし,身体拘束は高齢者の尊厳を損なう行為であり,かえって転倒などのリスクを高める可能性も指摘されています.委員会では,ご家族の思いに寄り添いながら身体拘束最小化の意義を丁寧に伝え,環境調整や多職種による見守り強化などの取り組みを紹介するポスターを院内に掲示し,理解促進に努めています.
関 尚子(せき なおこ)
2012年 東海大学大学院健康科学研究科看護学専攻修士課程卒業
2014年 老人看護専門看護師認定
2006年~現在 医療法人社団三喜会 鶴巻温泉病院勤務