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  専門看護師・認定看護師活動推進委員会報告

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公益社団法人日本看護協会が定めている資格制度に基づき、老人看護専門看護師は、複雑で解決困難な看護問題を持つ高齢者、家族及び集団に対して卓越した看護を実践し、関係者からの相談を受け、必要なケアが円滑に行われるために調整を行い、高齢者や家族の権利を守るための倫理調整、ケアを向上させるため教育的役割を果たし、さらに実践の場における研究活動を通して老年看護の質向上に寄与しています。また、認知症看護認定看護師は、認知症者とその家族および集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて、水準の高い看護実践を行い、指導相談を通して看護現場における認知症ケアの広がりと質の向上を図るために日々活発に活動しています。
一般社団法人老年看護学会はこれらの資格の誕生に関わっており、現在は専門看護師・認定看護師活動推進委員会がこれらの活動を一層活発にするために研修などを企画・運営することにより支援しています。
その一環としてCNSCN活動推進委員会では、老人看護専門看護師、認知症看護認定看護師の活動について会員・非会員を問わず広く知っていただき、理解を深めたいと考えHPに公表していくこととしました。概ね2か月に1回、報告内容を更新していく予定です。専門看護師、認定看護師の活動について理解を深めていただくとともに、看護実践の課題解決のヒントとして役立てていただければ幸いです。

Vol.30

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Vol.30-1
看護・介護の力で,「その人らしい暮らし」を最期まで支えるために
2015年認定 認知症看護認定看護師
2023年認定 老人看護専門看護師
中村 由喜子

中村 由喜子プロフィール写真

 私は,2015年に認知症看護認定看護師の認定を受け,急性期病院で約5年間,せん妄・認知症ケアチーム(以下,ケアチーム),院内デイケアの活動,リンクナースの育成,退院支援に携わってきました.ケアチーム活動では,週1回のラウンドを行い,治療に関する相談や,困難事例に対するケアをスタッフとともに実践してきました. また,院内デイケアでは,認知症の方やせん妄を発症した患者様の生活リズムの改善を目的に活動してきました.日々の活動の中で,自分自身の知識やスキルの未熟さを痛感し,大学院に進学し,2023年に老人看護専門看護師の認定を受けました.現在は,住宅型有料老人ホームに所属し活動を続けています.
 当施設では,高齢で認知症を患っている方も多く入居されています.私は日々,自分の意思が思うように表出することが難しくなる認知症の方の代弁者となり,本人の意思が尊重されるようご家族,スタッフと共有しながらケアを実践しています.以下,日々の活動について事例を通して報告したいと思います.
 Aさんは,85歳の男性で膀胱癌の末期と診断されました.数年前にアルツハイマー型認知症と診断を受けており,独居で生活されていました.身寄りもなく,服薬の管理ができないこと,火の不始末でボヤ騒ぎがあり,自宅での生活が困難となり昨年入居となりました.入居当日から「自転車をとられちゃった」 と繰り返し施設内を歩き回っていました.スタッフから,Aさんが何度も同じことを言っては廊下を歩き回っており,目が離せないと相談を受けました.そこで,Aさんの行動の裏にある思いや,大切に思っていることを理解することが,Aさんらしさを取り戻し,穏やかに過ごせるケアにつながるのではないかと考え, 多職種カンファレンスの開催を提案し,Aさんの身体状況,心理状況,生活環境,社会・家族環境の4つの側面から話し合った結果,痛みのコントロールが不十分であることがわかり,鎮痛剤の使用方法の検討をしました.また,自転車はお世話になった社長に会いに行きたいという気持ちの表れであったことがわかり, Aさんに対するかかわりについて話し合いができました.現在,Aさんは,ADLや認知機能は徐々に低下してきているものの,疼痛コントロールを図りながら穏やかに暮らしています.今後も多職種でカンファレンスを行いながら,「その人らしさ」を考え,穏やかな日々が少しでも続くようにスタッフとともに考え,実践していきたいと考えています.
中村 由喜子(なかむら ゆきこ)
1998年看護師資格取得後、社会福祉法人恩賜財団栃木県済生会宇都宮病院に入職.整形外科、救急病棟、救急外来、退院支援課等を経て、2015年認知症看護認定看護師資格を取得し、せん妄・認知症ケアチームの専従看護師として約5年勤務し退職。
2023年に老人看護専門看護師資格を取得後、志摩市民病院で地域医療を学び、2023年6月Re HOPE浦和美園に入職し現在に至る。
Vol.30-2
超高齢者の人生の最終段階を支える活動-臨床から教育に活動の場を移して-
群馬県立県民健康科学大学
老人看護専門看護師
戸谷 幸佳

戸谷 幸佳プロフィール写真

 私の老人看護専門看護師としてのキャリアは特別養護老人ホームから始まりました.開設されたばかりの施設で,看護スタッフも介護スタッフも施設での経験が少ない中,手探りでケアを行う日々でした.看取りケアに取り組んでいましたが,施設での看取りの経験が私自身や他のスタッフも少なかったため,施設で職員入居者,家族が安心して満足できる看取りケアに向けたくさんの課題に向き合いました.ある時,老衰で看取りケアを行っている入居者の体動が少なくなり,食事が食べられなくなっていく姿を見ているのが「こわい」と介護スタッフから相談された時がありました.言葉では訴えることのできない入居者が苦痛を感じているかどうか共にアセスメントする必要性を感じ,入居者の表情,動き,皮膚等の観察やケアを一緒に行い,今行っているケアは入居者の安楽につながっていることを確認しました.老衰により亡くなっていく高齢者の自然の経過を知り,変化を予測できることは,漠然とした看取りへの不安を軽減するのではないかと考え,勉強会やカンファレンスを行いました.
 この施設での経験から高齢者が安楽に人生の最終段階を過ごすためには看護・介護スタッフが高齢者の苦痛症状を適切にアセスメント出来ることが重要であると考えるようになりました.それが,アセスメント能力を高めるための方策の検討,開発を行う現在の研究テーマにつながっています.
 施設での活動では,経口摂取を続けたいと思う家族と入居者にとっては苦痛なのではないかと感じるスタッフとの思いの対立,最期を迎える場として施設を選択することへの家族の葛藤など倫理的な課題にも向き合あってきました.現在は大学で教員をしていますが,担当科目の一つに「看護倫理学」があります.学生が看護倫理について考え,倫理的感受性を育むことができるよう,自身の臨床での経験を授業で紹介するなど,これまでの活動を教育にもつなげています.
戸谷 幸佳(とや さやか)
急性期病院にて血液・神経内科、循環器内科を経験し、大学院時代は訪問看護ステーションで経験を積む。社会福祉法人久仁会特別養護老人ホームくやはらで勤務し、2010年に老人看護専門看護師認定。2019年から現職。